連続掌編十五編
桟橋へ
階段を下りると、すでにそこにはいつもの
人々がいた。人形のような目をして遠くの
濁った川原を眺めている少女は死んだ魚み
たいな瞳をしている少女の対角線上にいる。
魚を釣っている男は自らが下げているびく
のなかに釣った鮎を入れていた。鮎は濁っ
た河のような目で遠くの空をみていた。
-なにしてるのん? 少年が訊ねると-うん?
まあ神様はここにはいないんだなぁって。
川のなかには反射した粒子がきらきらと
輝いている。それきり僕は歩くのをやめた。
【dialogue】
礼和になった記念にリッドの「サイバネティックス全
史」と落合陽一「デジタルネイチャー」ガブリエル
「なぜ世界は存在しないのか」ケリー「インターネッ
トの次に来るもの」を併読している。
感想とかも書く予定。