或いは回転する棺桶

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掌編十五編

雨が止んだとき、私は傘をさしたままだった傘には雨粒が数的、素粒子のように付着していた。遠くから見たら私たちは何かの彫刻のように見えたことだろう。色とりどりの群衆のなかから何人かは黄色と銀の傘を絹糸みたいに擦れあわせながら私たちは何かの絵の風景のようにすれ違っていくのだろう。遠くの歩道橋から傘の群れを見下ろしている。一角の群れが通りすぎる。ジュゴンの群れはシュードラとしての道を切り開き田舎みたいな退廃した街を通りすぎ私は紅茶を飲むみたいにして手を傾けた。手は老人のそれみたいに嗄れていた。隅っこの枯れ葉色の喫茶店で若者ふたりが何ごとか喋っていて、写真をとるには何か惜しいような朝の風景であった時、稲光が絵の具みたいな街から聴こえ私は巨大な建物が見下ろしている交差点から出てきた。<終>

月曜日嫌い いつも眠たくなる 何か吐き出せなくなると 気持ちが悪くなる

胃のなかの 内臓にカメラを 破裂させると胃のなかの 蒼空が分裂して百個に増える 胃のなかの眼がこちらをみる シジフォスの神のようにオブジェクトとしての カメラを起動させて俺を見ている

憂鬱なときの夢は夕暮れのようで 契約違反の切符を切られる横断歩道 黄緑のもやのなかを歩くとき同時に眼も こちらを見ているのだが<存在>のように 眼はオブジェとしての役割をはたすが同時に <クト>としての接続詞は終焉を迎える ただ契約は契約としてアウストラトピテクスの時代も 人新世の時代も行き続けた斧が振り下ろされ 交差点は真っ二つに裂けた

ただ世界が裂けるとき 少女は闘いつづけた その閾のなかで ただ世界が裂けるとき 少女は唄いつづけた その閾のなかで いきとは閾である 骸骨の眼がこちら を見下ろし 少女は骸骨をみた

四角

刺青が裂ける 魚みたいに 絵の具が飛ぶ 魚みたいに 四角い部屋に 街として還元されず ただ要素として 青空が裂ける 魚みたいに 夕暮れが飛ぶ 街の隅で時計として 機能していた一角獣 の角が午前十一時五分を 知らせる